076-268-5360
石川県金沢市の法律に強い不動産屋さんです

マンションの管理計画認定制度 その2

マンションの管理計画認定制度

マンションの管理計画認定制度の概要

令和4年4月より、マンションの管理適正化推進計画を作成した地方公共団体において、一定の基準を満たすマンションの管理計画の認定が可能になりました。「管理計画認定制度」と言います。

管理計画認定制度を通じ、管理組合による管理の適正化に向けた自主的な取組が推進されるほか、市場で高く評価されるなどのメリットが期待されます。

令和5年9月末時点の認定実績は国交省が把握しているもので212件です。

制度のねらい

認定制度を通じて、マンションの管理適正化が推進される。

マンションの売却・購入予定者だけでなく、区分所有者や居住者にとってもメリットが期待できる。

主な認定基準

修繕その他管理の方法

・長期修繕計画の計画期間が一定期間以上あることなど

修繕その他の管理に係る資金計画

・修繕積立金の平均額が著しく低額でないことなど※修繕積立金ガイドラインで示す水準以上

管理組合の運営状況

・総会を定期的に開催していることなど

その他

・地方公共団体独自の基準に適合していることなど

認定の流れ

マンションの管理組合の管理者等が、管理計画及び添付書類を準備し、地方公共団体に認定申請します。この地方公共団体はマンション管理適正化推進計画を作成した地方公共団体です。金沢市では令和6年度以降に作成予定となっています。

マンションの管理組合の管理者等が地方公共団体に認定申請します。

マンションの管理組合の管理者等が、管理計画及び添付書類を準備し、地方公共団体に認定申請します。この地方公共団体はマンション管理適正化推進計画を作成した地方公共団体です。金沢市では令和6年度以降に作成予定となっています。

地方公共団体が認定します。※マンション管理適正化推進計画を作成した地方公共団体

県庁所在地の市区、政令指定都市及び特別区ではすべての市区でマンション管理適正化推進計画を作成する予定です。

管理計画認定制度のメリット

住宅金融支援機構のフラット35、マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げが実施されます。

フラット35

金利引下げ機関金利引下げ幅
(フラット35の借入金利から)
当初5年間年-0.25%

マンション共用部分リフォーム融資

金利引下げ機関金利引き下げ幅(借入金利から)
全期間年ー0.2%

マンションすまい・る債における利率上乗せ

大規模修繕に向けた修繕金の計画的な積み立てをサポートするマンション管理組合のための利付10年債権です。※2023年度は応募受付期間が終了していますが、次回募集を予定しています。

参考までに2023年度のマンションすまい・る債以下のとおりでした。

債券の利率(10年満期時の年平均利率(税引前))

認定マンション(参考)管理計画認定を受けていないマンション
0.525%0.475%

マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)※2023年4月1日から2025年3月31日まで

管理計画認定マンション等において長寿命化に資する大規模修繕工事が実施された場合、その翌年度に課される建物部分の固定資産税額が減額されます。

減額割合は1/6~1/2の範囲内で(参酌基準:1/3)で市町村の条例で定められます。

ただし、長寿命化に資する大規模修繕工事とは外壁塗装等工事、床防水工事及び屋根防水工事の全ての工事を実施する必要があります。

各区分所有者に課される建物部分の固定資産税額が減額されます。ただし、以下の要件があります。

マンションの要件※すべて満たす必要があります。

・築20年以上が経過している総戸数が10戸以上のマンション

・過去に長寿命化工事を行っているマンション

・管理計画認定マンション又は助言指導に係る管理者等の管理組合に係るマンションであること。ただし、いずれも一定の要件があります。

・長寿命化工事を実施したこと。(外壁塗装等工事、床防水工事及び屋根防水工事全て実施したこと)

管理計画認定の基準

・管理組合の運営

管理者等及び監事が定められている

集会(総会)が定期的に開催されている

・管理規約

管理規約が作成されている

管理規約にて下記について定めている

 緊急時等における専有部部の立ち入り

 修繕等の履歴情報の保管

 管理組合の財務・管理に関する情報の提供

・管理組合の経理

管理費と修繕積立金の区分経理がされている

修繕積立金会計から他の会計への充当がされていない

修繕積立金の滞納に適切に対処されている

・長期修繕計画の作成及び見直し等

長期修繕計画(標準様式準拠)の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金が集会(総会)で決議されている

長期修繕計画が7年以内に作成又は見直しがされている

長期修繕計画の計画期間が30年以上かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれている

長期修繕計画において将来の一時金の徴収を予定していない

長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でない

計画期間の最終年度におちて借入金の残高のない計画となっている

・その他

組合員名簿、居住者名簿が適切に備えられている

都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものである

管理計画認定制度の認定状況

2023年9月までに全国で198件が認定されています。ちなみに石川県での認定数は0となっています。石川県における各地方公共団体でのマンションの管理適正化推進計画の作成を待ちたいと思います。(本記事作成時点:令和6年4月13日)

まとめ

マンションを購入する際、管理組合がどうなっているか、大修繕は管理計画通り行われているか、そしてその管理計画はどうなっているかが、非常に大事です。適切な修繕が行われなければ、建物は傷み、その資産価値は下がってしまいます。マンションの資産価値は管理計画に大きく影響されると言えます。マンションの管理計画が各地方公共団体で作成されたマンション管理適正化推進計画に則り、認定されれば、お上のお墨付きが得られた訳ですから、大きな安心となります。