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おひとりさまの終活 ― 相続人がいない50代のあなたへ、財産と最期の段取りを自分で決める方法|金沢の司法書士が解説





おひとりさまの終活 ― 相続人がいない50代のあなたへ、財産と最期の段取りを自分で決める方法|金沢の司法書士が解説


終活・生前対策

おひとりさまの終活
相続人がいないあなたの財産は、
何もしなければ国のものになります

独身・一人っ子・ご両親他界――。50代の会社員の方に増えている「相続人不存在」の現実と、財産の行き先も最期の段取りも自分で決めるための生前対策を、金沢の司法書士・行政書士が解説します。

いきいき司法書士事務所・いきいき行政書士事務所(石川県金沢市)

ご両親をすでに見送り、独身で、兄弟姉妹もいない。仕事に打ち込み、コツコツと資産を築いてこられた方ほど、ふとした瞬間にこう考えるそうです。「自分に万一のことがあったら、この財産は誰のものになるのだろう」――。結論から申し上げます。何の準備もしなければ、あなたの財産は原則として国庫に帰属し、葬儀・納骨・自宅の片付けを引き受ける人も、法律上は誰もいません。

「相続人がいない」とはどういう状態か

民法が定める法定相続人は、配偶者、子(およびその代襲者)、直系尊属(父母・祖父母)、兄弟姉妹(およびその子)です。独身で子がなく、ご両親がすでに他界され、一人っ子で兄弟姉妹もいない場合、この4つのルートがすべて閉じており、法律上「相続人不存在」となります。

「いとこがいるから大丈夫では?」と思われるかもしれませんが、いとこ(従兄弟姉妹)は法定相続人ではありません。どれほど親しくしていても、遺言がなければ、いとこがあなたの財産を受け取ることは原則できないのです。

「相続人がいない」とはこういう状態 父(他界) 母(他界) あなた 50代・独身・一人っ子 配偶者 いない 兄弟姉妹 いない 子ども いない いとこは 法定相続人ではない 法律上「相続人不存在」 何もしなければ、財産は最終的に国庫(国のもの)へ
図1:配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹のすべてがいないと「相続人不存在」に

何もしないとどうなるか ― 年間1,292億円が国庫へ

相続人がいない方が亡くなると、財産はいったん「相続財産法人」となり、利害関係人などの申立てにより家庭裁判所が「相続財産清算人」を選任します。清算人が官報公告や債務の弁済などの手続を1年前後かけて行い、それでも残った財産は、最終的に国庫に帰属します。

約1,292億円

相続人不存在により国庫に帰属した財産(2024年度)。
10年前の約3倍に増加し、相続財産清算人の選任申立ては年間約7,000件。

出典:最高裁判所 司法統計(2024年度決算ベース)

背景には、生涯未婚率の上昇と、親族のいない単身高齢者の増加があります。これはもう例外的な話ではなく、社会の構造的な変化なのです。

問題は財産の行き先だけではありません。清算人選任には申立人が数十万円から100万円程度の予納金を納める必要があり、そもそも「誰が申し立てるのか」から不確実です。自宅は長期間放置され、遺品は他人の手で処分され、あなたが大切にしてきたものの多くは、あなたの意思と無関係に消えていきます。

見落とされがちな「死ぬ前」のリスク

終活というと「死んだ後」の話と思われがちですが、おひとりさまにとって本当に深刻なのは、その手前にある「判断能力が低下した期間」と「入院・施設入所の場面」です。

認知症などで判断能力が低下すると、預金の引き出しも、自宅の売却も、施設との契約も、ご自身ではできなくなります。家族がいれば代わりに動いてくれる場面ですが、おひとりさまには代わりに動く人がいません。また、入院や施設入所の際に求められる「身元保証人」を頼める相手がいない、というのも切実な問題です。

つまり、おひとりさまの備えは「亡くなった後」だけでなく、「元気なうち → 判断能力低下 → 死亡 → 死後」という時間軸の全体をカバーして初めて完成します。

対策は「時間軸ぜんぶ」をカバーして完成 元気なうち 判断能力の低下 ご逝去 死後の手続 見守り契約・財産管理等委任 定期連絡と、体調不良時の財産管理 任意後見契約 判断能力低下後の財産管理・契約 公正証書遺言(+遺言執行者) 財産の行き先を自分で決める 死後事務委任契約 葬儀・納骨・片付け・解約 + 尊厳死宣言(終末期医療の意思表示)/エンディングノート・デジタル遺産の整理
図2:4つの契約が、人生の各段階を切れ目なくカバーする

おひとりさまが備えるべき6つの生前対策

1. 公正証書遺言 ― 財産の行き先を自分で決める

すべての対策の土台になるのが遺言書です。遺言があれば、法定相続人がいなくても、あなたが指定した相手に財産を遺せます(遺贈)。遺贈先は自由です。親しくしているいとこや友人、お世話になった方、母校、地元の団体、動物愛護団体やユニセフなどへの「遺贈寄付」も選択肢です。近年、遺贈寄付は「人生最後の社会貢献」として関心が高まっています。

ポイントは2つあります。第一に、形式不備や紛失のリスクを避けるため、公証人が作成し原本が公証役場に保管される公正証書遺言を選ぶこと。第二に、遺言の内容を実現する遺言執行者を必ず指定しておくことです。相続人がいない以上、手続を進める人を遺言の中で決めておかなければ、せっかくの遺言も絵に描いた餅になりかねません。司法書士などの専門職を遺言執行者に指定しておけば、確実に実行されます。

自宅マンションなどの不動産をお持ちの場合は、遺言執行者が不動産を売却して現金化し、経費を差し引いた残りを受遺者に分配する「清算型遺贈」という方法もあります。受け取る側に不動産管理の負担をかけずに済むため、遺贈寄付との相性が良い方式です。

設計上の注意 ― 遺贈は「渡し方」で価値が変わります
財産の全部または割合で遺贈する「包括遺贈」は、受遺者が借金などの債務も引き継ぐため、団体側から受取りを辞退されることがあります。また、不動産をそのまま法人に遺贈すると、みなし譲渡所得課税という思わぬ税負担が生じる場合があります。「特定の財産を指定して遺贈する」「不動産は清算型で現金化してから届ける」といった設計上の工夫が、受け取る側にとっても喜ばれる遺言につながります。

2. 死後事務委任契約 ― 葬儀・納骨・片付けを託す

遺言でカバーできるのは、基本的に財産の行き先だけです。葬儀や火葬の手配、納骨・永代供養、自宅の遺品整理と明け渡し、電気・ガス・携帯電話の解約、未払いの医療費や家賃の精算――こうした「死後の事務」は、遺言とは別に死後事務委任契約で専門家などに委任しておく必要があります。おひとりさまにとっては、遺言と並ぶ必須の契約といえます。

3. 任意後見契約 ― 判断能力が低下したときの備え

元気なうちに、将来判断能力が低下した場合に自分の財産管理や契約を任せる人(任意後見人)を、公正証書で決めておく制度です。家庭裁判所が選ぶ法定後見と違い、「誰に」「何を」任せるかを自分で決められるのが最大の利点です。信頼できる親族がいないおひとりさまこそ、司法書士などの専門職と任意後見契約を結んでおく意味が大きい制度です。

4. 見守り契約・財産管理等委任契約

任意後見契約は「判断能力が低下してから」効力が生じます。そこで、それまでの間、定期的な連絡や面談で健康状態を確認する見守り契約を組み合わせるのが一般的です。また、判断能力はあるものの、入院などで体が不自由になった場合に備え、預金の管理や支払いを任せる財産管理等委任契約を併用することもできます。

5. 尊厳死宣言・医療についての意思表示

回復の見込みがない終末期に、延命治療を望むかどうか。家族がいれば医師と話し合ってくれる場面ですが、おひとりさまの場合、意思を伝える人がいません。元気なうちに尊厳死宣言公正証書などの形で意思を残しておくことで、医療現場にあなたの希望を届けることができます。

6. デジタル遺産の整理とエンディングノート

ネット銀行・ネット証券の口座、サブスクリプション契約、スマートフォンのロック解除情報。これらは通帳のような手がかりがなく、放置されると誰にも発見されないまま消えていく可能性があります。資産価値のある方ほど、ネット証券などに相応の資産をお持ちのはずです。財産目録とID・パスワードの管理方法を整理し、エンディングノートにまとめておきましょう。エンディングノート自体に法的効力はありませんが、遺言執行者や死後事務の受任者にとって、何よりの道しるべになります。

備え カバーする場面 できること
公正証書遺言 ご逝去後 財産の行き先の指定(遺贈・遺贈寄付)、遺言執行者の指定、清算型遺贈
死後事務委任 ご逝去後 葬儀・納骨・遺品整理・各種解約・費用精算
任意後見 判断能力低下後 財産管理、施設・入院契約の代理
見守り・財産管理委任 元気なうち〜 定期的な安否・健康確認、体調不良時の預金管理・支払い
尊厳死宣言 終末期 延命治療についての意思表示
エンディングノート 全期間 財産目録・デジタル遺産・希望の伝達(法的効力はなし)

ご相談から契約までの流れと費用感

実際の進め方は、決して大がかりなものではありません。

  • ① 初回相談:財産の内容(不動産・預貯金・有価証券・保険・デジタル資産)と、誰に・何を遺したいかという想いを棚卸しします。
  • ② ご提案:遺言・死後事務委任・任意後見などの必要な組合せと文案をご提案します。
  • ③ 準備:公証役場との日程調整や必要書類の収集は当事務所が代行します。
  • ④ 完成:公証役場で公正証書を作成します。ご相談から通常1〜2か月程度が目安です。

費用は財産の内容や契約の組合せによりますが、公正証書遺言+死後事務委任契約+任意後見契約のフルセットでも、専門家報酬と公証人手数料を合わせて数十万円台が一般的な水準です。何百万円という話ではありませんし、何より、清算人選任の予納金や放置された不動産の価値毀損と比べれば、はるかに小さな投資です。

なぜ「50代の今」が最適なのか

「まだ50代、早すぎるのでは」と思われるかもしれません。しかし実務の現場から見ると、50代はむしろ絶好のタイミングです。理由は3つあります。

第一に、公正証書遺言や任意後見契約は、判断能力が十分にあるうちにしか作れません。第二に、現役で収入があるうちの方が、費用面でも心理面でも余裕をもって設計できます。第三に、遺言は一度作れば終わりではなく、状況が変われば何度でも書き換えられます。「とりあえず今の考えで作っておき、定年や退職金受取のタイミングで見直す」――この軽やかさが、結果的にいちばん確実な備えになります。

当事務所の「おひとりさまワンストップサポート」

いきいき司法書士事務所・いきいき行政書士事務所は、金沢を拠点に、おひとりさまの生前対策を一つの窓口で完結するサポートを行っています。当事務所の特長は、司法書士・行政書士・宅地建物取引業(いきいきエステート)の3つの機能を一人の専門家のもとに備えていることです。

おひとりさまワンストップサポート 司法書士 公正証書遺言の設計 遺言執行者・任意後見 不動産登記 行政書士 死後事務委任契約 見守り・財産管理委任 尊厳死宣言 宅建業 自宅の査定・売却 清算型遺贈・住み替え 一つの窓口 一人の専門家が 生涯伴走 遺言の設計から、死後事務、そして自宅の売却まで。外部業者を挟まず完結します。
図3:司法書士 × 行政書士 × 宅建業。三つの機能をひとつの窓口で
  • 司法書士として:公正証書遺言の設計・文案作成、遺言執行者への就任、任意後見契約、不動産の名義や権利関係の確認・登記
  • 行政書士として:死後事務委任契約、見守り契約、財産管理等委任契約、尊厳死宣言などの各種契約書・公正証書の作成支援
  • 宅建業者として:ご自宅などの不動産の査定から売却まで。清算型遺贈やご生前の住み替え・資産整理にも、外部業者を挟まず対応

おひとりさま対策で最後に必ず問題になるのは「不動産の出口」です。遺言や契約を作れる専門家は多くいますが、その先の不動産売却まで同じ窓口で完結できる事務所は多くありません。当事務所なら、遺言の設計段階から「自宅を最終的にどう現金化し、誰に届けるか」まで一貫して組み立てられます。また、信託銀行の遺言信託と比べて費用を抑えられることも、実務家事務所の強みです。

そして何より、生前対策は「作って終わり」ではなく、その後何十年も続くお付き合いです。見守り契約から任意後見、遺言執行、死後事務まで、最初にお会いした専門家が最後まで伴走する。地域に根ざした個人事務所だからこそ、それをお約束できます。

よくあるご質問

遺言だけ作っておけば十分ですか?

遺言でカバーできるのは財産の行き先だけです。葬儀・納骨・自宅の片付けなどの死後事務や、認知症になった場合の財産管理は、遺言では対応できません。おひとりさまの場合は、遺言・死後事務委任契約・任意後見契約の3点をセットで考えることをおすすめします。

まだ財産の使い道が決まっていません。それでも相談できますか?

もちろんです。むしろ「決まっていないから相談する」のが正解です。遺贈先の候補や設計パターンをご覧いただきながら、一緒に考えていきます。遺言は何度でも書き換えられますので、まず現時点の考えで形にすることが大切です。

転勤や住み替えの可能性があります。作った後に事情が変わったら?

公正証書遺言は、新しい遺言を作れば古いものに優先します。死後事務委任や任意後見も、合意により内容を見直せます。当事務所では、見守り契約を通じて定期的にご状況を伺い、ライフイベントに合わせた見直しをご提案しています。

まとめ ― 「何もしない」は「すべてを偶然に委ねる」こと

相続人がいないおひとりさまにとって、「何もしないこと」は「すべてを国と偶然に委ねること」を意味します。逆にいえば、遺言・死後事務委任・任意後見という3つの柱を立てるだけで、財産の行き先も、最期の迎え方も、死後の後始末も、すべて自分の意思で決められます。

築いてこられた財産を、あなたらしい形で未来に。

まずは現状の棚卸しから。財産の内容とお気持ちを伺いながら、必要な備えとおおよその費用を初回相談でご案内します。遺贈先が決まっていなくても、もちろん大丈夫です。

いきいき司法書士事務所・いきいき行政書士事務所
(石川県金沢市/不動産部門:いきいきエステート)

※ 本記事は2026年7月時点の法令・統計に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案についての法的助言ではありません。税務上の取扱いについては税理士へのご確認をおすすめします。