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売主が宅建業者の場合の損害賠償責任について

 以下は売主(宅建業者)の責任が認められた裁判例です。専門家責任の重さを考える上で、参考になると思いましたので、ご紹介いたします。
東京地裁平30年3月29日

破産管財人の損害賠償責任について

 宅建業者である売主と個人である買主の間で締結された土地売買契約につき、引き渡し後地中埋設物等が確認され、買主が売主及び買主側の媒介業者に対して説明義務違反等に基づく損害賠償責任等を追及したところ、裁判所が売主の説明義務違反による損害賠償責任を認めたが、媒介業者の調査・告知義務違反を認めなかった事例。宅建業者が更地化して売却するため、施工業者に解体工事を委託したところ、地中埋設物が施工業者には発見されていたが、埋め戻す等により売主は知ることができなかった事案です。裁判所は売主が監視・調査を行えば発見でき、買主に対し適切な説明ができたはずという判断をしました。

では、どうすればよかったか私なりに考えてました。通常、売主であれ、買主であれ、更地化する際は、解体業者に丸投げし、立ち会うことはほぼありません。第一危ないですし。しかし、裁判所は監視及び調査し、埋設物の有無を確認すべしとしました。これを防ぐ方法を考えました。売主の責任をできるだけ軽減することです。具体的には、以下3つ全てします。①買主を宅建業者とする②解体は買主の責任と費用で行うとする特約をつける。③埋設物発見時の免責特約をつける。私が見た任意売却の契約書では、売主において、①解体更地渡し②境界確認すべき特約がつけられていました。もし、埋設物が発見されたら、特約で免責されていたとしても、買主はゴネるかもしれません。法的に買主は債務不履行責任を負いますが、買主がゴネてしまっては、どうにもなりません。なぜかというと、解体工事をした後では、その費用は売買代金を充てることになり、解体工事の支払いが迫っている売主は、裁判等の法的手続きをしている心理的余裕はありません。多少、値下げしてでも売ってしまいたいはずです。同様に、売主側にて厳格な境界確認をする契約内容になっている場合、同意しない隣地所有者が現れたら、債務不履行責任を問われますし、値下げ交渉の材料になってしまいます。このように売主側で先に履行しないといけない内容が多いと、何かあったときに、不利な状況に置かれてしまいます。結論として、埋設物及び境界確認の免責特約をつけた上で、解体せず現状のまま、売却するのがリスクを軽減することになります。また、宅建業者の買主を見つけることが重要です。なぜなら、買主が宅建業者の場合は、契約不適合責任等の売主側の責任が軽減されるからです。ところで、仲介業者の報酬は売買代金に応じて高くなりますので、解体更地渡し(解体費用は売主負担なので売主としては手元に残る額はほぼ同じ)の方が報酬が高くなるため、売主とは利害が対立しますのでご注意を