はじめに
「高齢になったら、必要なときに施設に入れるだろう」と思っている方は多いかもしれません。
しかし現実には、“身元保証人がいない”という理由で入所を断られるケースが、全国で後を絶ちません。
特に、おひとりさまや子どものいない夫婦、家族と疎遠な方にとっては、これは他人事ではありません。
今回は、身元保証人がいないことによって起こる具体的なトラブルと、その対策をわかりやすく解説します。

「身元保証人がいないと施設に入れない」って本当?
はい、残念ながら本当です。
介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホームなど、さまざまな高齢者施設では、「入所時に身元保証人が必要」とされていることがほとんどです。
なぜ身元保証人を求めるのか?
施設側の本音は以下の通りです。
- 緊急時に家族や支援者と連絡が取れないと困る
- 医療同意や契約の意思確認ができない場合に代わりに判断してもらいたい
- 死亡時の対応(遺体引取り、葬儀、遺品整理など)をお願いしたい
- 利用料が未納になった場合、保証人に連絡して回収したい(※本来は不適切)
つまり、施設は「万一のときの対応役」として保証人を欲しているのです。
保証人がいないとどうなるの?
ケース1:入所を断られる
「身元保証人がいない方は、当施設の方針でご入所いただけません」
——これは、決してレアケースではありません。
特に民間の有料老人ホームや高齢者向け住宅では、“保証人が見つかるまで契約保留”という対応が常態化しています。
ケース2:入所できても医療処置で支障が出る
例えば、入所後に急変し、病院で手術や延命処置の判断が必要になったとき——
「ご本人の意思が確認できず、ご家族とも連絡がつかない」として処置が遅れたり、施設が対応に困るという事態が起こります。
身元保証人がいない人が増えているという現実
日本は今、「おひとりさま超高齢社会」に突入しています。
- 高齢単身者世帯は年々増加(65歳以上の単身世帯は約800万世帯)
- 子どもがいない、または遠方に住んでいる家庭が多い
- そもそも親族に頼めない人も少なくない(絶縁、疎遠、負担をかけたくない など)
こうした背景の中、“保証人を頼めない高齢者”の存在が社会問題化しているのです。
「保証人がいないと入れない」は合法なの?
これは非常にグレーな領域です。
● 厚生労働省の見解
医療機関・介護施設等において、保証人がいないことを理由に入院・入所を拒否することは「やむを得ない範囲にとどめるべき」。
つまり、絶対に拒否してはならないとは言えないが、不当に差別してはいけないという立場です。
ただし、現実には「他の入居者との公平性」「トラブル時の対応リスク」などを理由に、保証人のいない人が排除されているケースは多々あります。
解決策①:民間の身元保証サービスを利用する
現在、多くの高齢者やおひとりさまは、「民間の身元保証サービス」を利用することでこの問題を解決しています。
特徴
- 医療・介護施設に必要な連絡先や生活支援を担ってくれる
- 亡くなった後の遺体引取り、葬儀、遺品整理まで支援可能
- 事前に契約しておくことで、施設とスムーズに契約できる
注意点
- サービス利用料(初期費用+月額管理料)がかかる
- 中には質の悪い業者もあるので、選定は慎重に
- 「金銭保証」が契約内容であるか確認することが大切
解決策②:専門家と一緒に準備する(司法書士・行政書士等)
信頼できる人が周囲にいない場合、専門家(司法書士や行政書士など)を窓口として契約・支援体制を整えることも可能です。
たとえば、
- 任意後見契約(判断能力がなくなった場合の代理人設定)
- 死後事務委任契約(亡くなった後の手続きを依頼)
- 医療同意代行の意思表示支援
- 施設への意思確認・支援者登録など
これらの制度を活用することで、「保証人がいない」という理由で人生設計が崩れることを防ぐことができます。
解決策③:施設選びを見直す
すべての施設が「保証人必須」ではありません。最近では、
- 高齢者支援NPOが運営する施設
- 地方自治体と連携して保証人不要を掲げる施設
- 医療・介護と住まいを一体化させた包括的支援型施設
など、「保証人なしでも入居可能」な施設が増えてきています。
「入れないから諦める」のではなく、探し方を変えることも大切です。
まとめ:身元保証人がいなくても、あきらめなくていい
テーマ | ポイント |
---|---|
保証人がいないと施設に入れない? | 現実には多くの施設が保証人を求めているが、法的には完全な義務ではない |
おひとりさまの現実 | 保証人を頼めない人が年々増加。支援が必要な社会背景 |
解決策 | 民間サービス/専門家の活用/保証人不要の施設選びなど、複数ある |
今すぐできること | 将来を見据えて、自分に合った支援体制を早めに準備すること |
想定事例①「保証人がいないと施設に入れない…」
● 状況
80代女性Aさんは介護が必要になり、有料老人ホームへの入所を希望。
施設との面談を終え、「これで安心」と思った矢先、こう言われました。
「保証人がいない方は、当施設ではお受けできません」
Aさんには配偶者も子もなく、きょうだいとも疎遠。友人に相談しても、「責任が重い」と断られてしまいました。
● 当事務所での対応
当事務所はAさんと次の契約を結びました。
- 死後事務委任契約(葬儀・遺品整理・解約手続き等の代行)
- 任意代理契約(入所手続きや生活に必要な判断の代行)
- 弊所と身元保証契約の締結
施設との事前調整も当事務所が同席し、契約書の確認や責任範囲の説明を丁寧に行ったことで、スムーズな入所が実現しました。
● 相談者の声
「家族も友達もいない私にとって、“保証人がいない”というだけで人生を否定されたような気持ちでした。
でも、先生が丁寧に一つ一つ整えてくれて、最終的には希望していた施設に無事入れました。老後の安心が得られて本当によかったです。」
想定事例②「急病で倒れたが、医療同意者がいない」
● 状況
70代男性Bさん。サ高住に入居中に脳梗塞で倒れ、救急搬送。
手術が必要な状況でしたが、本人は意識がなく——
病院:「ご家族や保証人の同意が必要ですが、どなたも連絡先がありません」
このままでは適切な処置ができないと、施設と医療機関の間で混乱が生じました。
● 当事務所での対応
Bさんは当事務所と以下の契約を済ませていました。
- 任意後見契約(判断能力を失ったときの代理人を事前に指定)
- 医療意思表示書(延命処置や緊急手術への考え方を記録)
その結果、当事務所がすぐに後見受任者として病院と連携し、Bさんの意思に沿った医療決定が行えました。
● 相談者の声(回復後のBさんのコメント)
「まさか自分が倒れるなんて思ってなかったけど、あのとき契約しておいて本当によかったです。
意識が戻ったときに『きちんと対応してくれましたよ』と言われて、涙が出ました。これからは後見人さんと一緒に無理せず暮らしていきます。」
想定事例③「亡くなった後、誰も対応できない」
● 状況
60代女性Cさん。親族とは長年連絡を取っておらず、一人で高齢者住宅に入居していました。
ある日、突然の急逝。施設側は——
「保証人がいないため、遺体の引き取りも葬儀の手配も進められません」
行政代行による簡易火葬や合葬が検討され、施設職員も対応に困惑。
● 当事務所での対応
生前にCさんは当事務所と次のような契約を交わしていました。
- 死後事務委任契約
- 遺言公正証書の作成(財産処分と遺品整理の指示)
- 葬儀の形式や希望内容の記録
亡くなられた後、当事務所がすぐに出動し、
Cさんの希望どおりの火葬・納骨を行い、賃貸物件の原状回復や遺品整理もすべて代行しました。
● 相談者の声(契約時のCさんの言葉)
「子どもも親もいない私のことなんて、誰も見てくれないと思っていたけど、先生が“最期まで責任を持ちます”と言ってくれて本当に安心しました。
私の人生、最後に“支えてくれる人”ができて、もう怖くないです。」
当事務所が提供できる主な支援
支援内容 | 詳細 |
---|---|
任意後見契約 | 判断力が低下したときの代理判断者を事前に設定 |
死後事務委任契約 | 葬儀・火葬・遺品整理・住居解約などを法的に委任 |
身元保証人の紹介 | 信頼できる保証法人をご紹介し、入所契約を支援 |
医療意思表示書 | 手術・延命治療の希望を明文化して備える |
入所手続きの立ち会い | 施設とのやりとりを法律専門家がサポート |
まとめ:「保証人がいない」からといって、諦めないで
身元保証人がいないことで起こる問題は、確かに深刻です。
ですが、それは「人生の選択肢が閉ざされる」ことを意味しません。
「法的に支援を受けられる仕組み」と「信頼できる専門家」によって、
おひとりさまの老後も、しっかりと整え、安全に過ごすことができます。
身元保証人がいないからといって、「施設に入れない」「安心して老後を迎えられない」と悩まなくても大丈夫です。
社会は少しずつ、おひとりさまにも優しい方向へ動き出しています。
あなたに必要なのは、「少しだけ早く、準備をはじめる」ことです。
老後を“支えてくれる人”を見つけ、制度を使いこなすことで、安心して次のステージに進んでいきましょう
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