最判平18年12月21日損害賠償請求事件
破産会社が賃貸借している不動産の賃料について、裁判所の許可を得た上で敷金を充当する合意をしたところ、敷金返還請求権に質権を持つ債権者から損害賠償請求をされた事案です。1審で破産管財人の損害賠償責任を一部認容、2審で棄却、最高裁で一部認容されました。(約1050万円を破産管財人個人に支払えという判決が出ました。)
私が特に怖いなと思ったのは、裁判所の許可を得たにも関わらず、破産管財人個人に対し、1050万円もの賠償責任があるとされたことです。また、疑問なのは、破産開始後に多額の賃料が発生していたことです。本来なら、より賃料の安い物件に移転するか、速やかに賃貸借契約を解除し、原状回復の上退去していれば、そもそも多額の賃料は発生していなかったと思うのですが、何か事情があったのかもしれません。ですが、仲介業者が物件をよく確認し、代わりの物件を探してきたり、助言等、適切に動いていれば防げたのではないかと私自身は思いました。
競売の場合、物件の調査と評価は、裁判所が行います。具体的には執行官と不動産鑑定士です。ですが、任意売却では、仲介業者が物件の調査及び査定を行いますので、仲介業者の能力により左右されます。第三者に占有されていないか?物件内の動産の所有権は誰にあるのか?解除すべき賃貸借契約はないか?その契約書の所在は?心理的瑕疵はないか?等、多岐にわたります。ぜひ、信頼のできる仲介業者にご依頼ください。