本当です。
ただし、例外があります。
誰かと共有している場合、
その持分を放棄
することができます。
放棄した持分は他の共有者が取得します。
不動産は
受け取る人がいる場合だけ手放せる
のです。
ちなみに、放棄自体は、他の共有者の同意は必要ありませんが、登記をするには、他の共有者と共同で申請しなければなりません。もし、協力してくれない場合は、裁判をする必要があります。
でも、問題は、
1人で所有している売れそうにない不動産
です。
この場合、
- がんばって売る
- 欲しい人にあげる
- 国や自治体に寄付する
しかありません。
売れそうにない不動産なので、1や3は望みが薄いです。
となると、2の一択です。
可能性があるのは、
- 隣地の所有者
- 子供の家を建てたい近所の方
ぐらいでしょうか。
これらを見て、鋭い方はお気づきかと思いますが、不動産の資産価値を左右するものの一つで、見落とされがちなのが、
ご近所付き合い
です。
ご近所付き合いが良いと、今回のような、市場価値がない不動産でも、ご近所の方が買ってくれるかもしれません。
逆に、ご近所トラブルがあると、非常に売りにくいです。
例えば
- 境界の立ち合いに協力してくれない
- 境界を争ってくる
- 買う気のある人が物件を見にくるたびに睨んでくる
- 買う気のある人に過去の不満をぶつけてくる
これでは、買う気も失せます。
話がそれましたが、不動産は
生きている間は捨てられない
が
相続時なら捨てられます。
そうです、相続放棄です。
しかし、デメリットはあります。
- 家庭裁判所での手続が必要
- 他の財産も放棄しなければならない
1は手間がかかるだけで、大したことはありません。
問題は2です。
不動産だけを捨てることはできず、他の財産も含めて放棄しなければなりません。
難しい問題ですが、解決策はあります。
- 生前贈与+相続時精算課税制度
- 民事信託
で、生前に必要な財産を移しておくことです。
ただし、相続時に
債務超過
になっている場合、債権者から
詐害取消
される恐れがあるので注意が必要です。
詐害取消とは、債務者が、債権者を害することを知っていて、財産を処分することです。
要は借金逃れのための財産隠しです。
今回の場合、債務超過になることを知っていて、贈与等をしたなら、債権者はその贈与等の行為を取り消す事ができる可能性があります。
そして、相続放棄ができたとしても、もう一つ問題があります。それは…
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
管理を継続
とあります。そうです、相続放棄をしたとしても、次の相続人が管理を始めるまでは、管理を継続しなければなりません。
相続人全員が相続放棄をした場合は、相続財産管理人が管理を始めるまでです。
売れそうな不動産なら遠からず手を離れるでしょう。しかし、売れそうにない不動産はどうにもなりません。
管理とは何かというと、建物ですと、塀が壊れて通行人をケガさせないように修繕したり、建物自体が崩壊しないよう補強したりすることです。
あと火災も怖いので、ブレーカーを落としておいたり、漏電がないか確認したりも大事ですね。
土地なら、草がぼうぼうに生えて隣地に伸びないよう、こまめに草刈りしたり、不法投棄されないよう柵を設けたりなどです。
くれぐれも不動産を買う時は、
売れそうな物件を買うようにしましょう。