こんにちは。金沢市の「いきいき司法書士事務所」です。
最近、チョコレートを食べすぎるとお腹がゆるくなります。昔はたくさん食べても平気だったんですが。。好きなものを好きなだけ食べられるって幸せなことなんですね。
ところで今回は、最近ご相談の増えている【ペット信託】について、司法書士の立場からやさしく解説いたします。

■ 1.ペットは「家族」です
犬や猫、小鳥やウサギなど、私たちの生活に癒しを与えてくれるペット。
「家族と同じ存在」として一緒に暮らしている方も多いでしょう。
しかし、こんな不安を感じたことはありませんか?
- 自分に万が一のことがあったら、この子はどうなるんだろう…
- 子どもがいない/高齢の親しかいない/頼れる人が近くにいない
- 施設に入ることになったら、ペットはどうなるの?
実際、高齢者が施設入居や入院などで飼えなくなったケースで、保健所に引き取られる事例も少なくありません。
それを防ぐために登場したのが、**「ペット信託」**です。
■ 2.ペット信託とは?かんたんに言うと…
ペット信託とは、飼い主が元気なうちに、自分の財産の一部を「ペットのために使ってもらう仕組み」を決めておくことです。
法的には「民事信託(家族信託)」の一種で、以下のような形になります:
- 【委託者】=ペットの飼い主
- 【受託者】=信頼できる人(家族や知人など)
- 【受益者】=ペットの世話をする人、またはペット自身の生活のため
ペットには法律上の権利能力がないため、直接お金を受け取ることはできません。
そのため、信託という仕組みを使って、間接的に「ペットのために使ってもらう」ようにするのです。
■ 3.どんな仕組みか、事例で見てみましょう
例えばMさん(70代)のケース
Mさんは、愛犬「ココちゃん(トイプードル・11歳)」と暮らしており、ご主人を亡くされて独り身です。
万が一、自分が倒れたときにココちゃんの面倒を見てくれる人がいないことをとても心配していました。
そこでMさんは司法書士に相談し、以下のような信託契約を結びました:
- 姪のAさんを【受託者】として指名
- 預金のうち100万円を「ココちゃんの生活費」として信託
- 月々1万円ずつ、Aさんがココちゃんの世話に使う
- ココちゃんが亡くなったら、残金はAさんのものに
こうすることで、Mさんは安心して生活を続けることができました。
■ 4.ペット信託のメリットとは?
① 書面でルールを決めておける
飼い主が元気なうちに、「誰に・どのように」世話をお願いするかを法的に決めておけるため、万一のときにもトラブルが防げます。
② 財産でペットの生活を守れる
信託財産をあらかじめ指定しておくことで、預金や資産をペットのために使ってもらう仕組みができます。
③ 遺言だけでは不十分な場合をカバーできる
遺言では「ペットにお金を遺す」ことはできません(ペットは“人”ではないため)。
ペット信託なら、生前からのサポートも可能です。
■ 5.実際にどんなことを決めるの?
ペット信託では、以下のような内容を契約書に盛り込みます。
項目 | 内容の例 |
---|---|
信託財産 | ペットの生活費用(現金・預金など) |
受託者 | 面倒を見てくれる人(家族や友人) |
ペットの種類・名前 | 犬の「マロン」、猫の「シロ」など |
管理方法 | 月の生活費上限、通院や予防接種の方針など |
監督人(任意) | お金の使い方をチェックする人を置くことも可能 |
■ 6.ペット信託にかかる費用と流れ
▼ 一般的な流れ
- 初回相談(無料の場合あり)
- 契約内容の設計(打ち合わせ)
- 契約書の作成
- 公証役場での確定(必要に応じて)
- 信託財産の移転(預金の分別管理など)
▼ 費用の目安(いきいき司法書士事務所の場合)
- 初回相談:無料(30分)
- 契約書作成:12万~20万円程度
- 公証役場費用:1万~2万円程度(任意)
※信託財産の額や内容により変動します。お気軽にご相談ください。
■ 7.ペット信託が向いている方は?
- 一人暮らしや高齢の方で、ペットがいる方
- 子どもが遠方にいて頼れない方
- 障がいがある家族と暮らしていて、将来ペットの面倒が見られなくなる可能性がある方
- 自分が先に旅立ったとき、ペットの行き先を明確にしておきたい方
■ 8.よくあるご質問~ペット信託 Q&A~
Q1. 受託者になる人が途中で世話できなくなったらどうなりますか?
A. 信託契約には「予備の受託者」や「信託監督人」を設定することができます。
将来に備えて、代わりの人を決めておいたり、監督人をつけてチェック体制を整えておくことで、万が一にも対応できます。
Q2. どれくらいの金額を信託にすればいいですか?
A. ペットの種類や年齢によって異なりますが、
たとえば犬であれば【月1万円 × 余命5年 =60万円】程度が一つの目安になります。
通院や介護が必要になるケースもあるため、余裕を持った設定が望ましいです。
Q3. 公正証書にしなければいけませんか?
A. 必ずしも公正証書にする必要はありませんが、第三者に対して効力を明確にするためには、公正証書での作成が安心です。
信託契約書を公証役場で作成することで、後のトラブル防止にもつながります。
Q4. 親族に頼める人がいません。それでも信託はできますか?
A. はい、可能です。近年はNPO法人やペットシェルターが受託者や世話人になるケースも増えており、
ペット信託の受け皿として社会的な仕組みが整いつつあります。
当事務所でも提携先のご紹介が可能です。
■ 10.ペット信託と成年後見制度の併用について
ペット信託は「財産をどう使うか」の契約ですが、
認知症や判断力の低下に備える制度としては、成年後見制度があります。
● 成年後見制度とは?
本人の判断能力が衰えたときに、家庭裁判所が選んだ後見人が財産管理や生活のサポートをする制度です。
とくに法定後見では、家族が後見人になるとは限らず、第三者(司法書士や弁護士)が選任されることも多いです。
● なぜ併用が必要なのか?
高齢者の方がペット信託を組んでも、その後に認知症を発症した場合、信託の運用や変更が難しくなることがあります。
また、受託者とのやり取りが必要な場面で、本人が判断できないとなると、後見人の関与が必要になる可能性も出てきます。
● どう組み合わせる?
- 元気なうちにペット信託を設計し、
- 将来に備えて任意後見契約(自分が後見人を選んでおく契約)を結んでおく
このようにしておくと、信託と後見の連携が取りやすくなり、より万全な備えとなります。
■ 9.まとめ|ペットの未来を守るために、今できること
ペット信託は、飼い主の「想い」を形にする、あたたかい仕組みです。
遺言だけではカバーできない部分を補い、「もしものとき」に備える手段として、多くの方に活用されています。
いきいき司法書士事務所では、金沢市を中心に、石川県全域でペット信託のご相談をお受けしています。
初めての方にもわかりやすくご説明いたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。