こんにちは。「いきいき行政書士事務所」です。
今回は、建設業に関わる方なら一度は耳にしたことがある「建設業許可」について、わかりやすく解説します。
「小さな工事しかしてないし、うちは関係ないよね?」
「下請けだから許可はいらないって聞いたけど…」
そんな声をよく耳にします。でも、本当に許可が不要でしょうか?
知らずに無許可営業を続けていると、罰則や仕事の受注停止といった深刻なリスクもあるのです。

建設業許可ってなに?
建設業許可とは、建設工事を一定以上の規模で請け負う事業者に対して、国や都道府県が与える「営業の免許」のようなものです。
建設業法に基づき、一定の要件を満たした業者だけが許可を得て営業できます。
許可が必要となる基準は?
次のどちらかに該当する場合、建設業の許可が必要です。
- 1件の工事の請負代金が税込500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅)
- 元請・下請は問わない(下請けでも対象)
つまり、「ちょっとしたリフォーム」であっても、金額によっては許可が必要になるケースがあります。
無許可営業のリスクとは?
建設業許可を取らずに500万円以上の工事を請け負うと、違法行為となります。
- 【罰則】3年以下の懲役または300万円以下の罰金
- 【信用の失墜】公共工事の入札資格停止、元請けからの契約打ち切り
- 【損害賠償】トラブル発生時に「無許可業者」として契約無効になる可能性も
まさに、知らなかったでは済まされない重大なリスクです。
許可を取るとどう変わる?
許可を取得することで、次のようなメリットがあります。
- 「信用力」がアップし、元請や顧客から信頼されやすくなる
- 公共工事の入札資格が得られる(国・県・市の仕事も)
- 金融機関からの融資やリース審査でも有利に働く
最近では、民間工事でも「許可業者に限る」という条件付きの案件が増加しています。
長く建設業を営んでいくなら、早めに許可を取っておくべきです。
建設業許可の取得要件とは?
建設業許可を取るには、次のような要件をクリアする必要があります。
① 経営業務の管理責任者がいること
建設業の経営に5年以上携わった経験がある人が必要です。
② 専任技術者がいること
建設業の実務経験が一定年数以上ある人、または一定の資格を持っている人が必要です。
③ 財産的基礎があること
一般許可の場合、500万円以上の資金力があること(現金・預金・資産などで証明)
④ 欠格要件に該当しないこと
過去に重大な違反歴がある場合などは不可。
自分で申請できる?行政書士に頼むメリットは?
もちろん、ご自身での申請も可能です。
ですが、手続きは書類作成や証明書の収集などが煩雑で、初めての方にとってはなかなか大変です。
行政書士に依頼すれば、
- 必要な書類の案内から収集・作成まで丸ごと代行
- 要件の適合性の事前チェックで不許可リスクを軽減
- 県庁や市役所との折衝も代理で行える
といったメリットがあります。本業に集中しながら、確実に許可を取得できるのです。
よくある相談事例
①「父の会社を継いだが許可がない」
→ 過去の実績や従業員の経験をもとに、経営業務管理責任者の要件をクリアする方法をご提案します。
②「外注が500万を超えそうだが下請けだから許可はいらない?」
→ 請負金額で判断されるため、下請けでも許可が必要になることを説明。申請サポートを行います。
③「法人設立と同時に許可も取りたい」
→ 法人設立と建設業許可のセット申請を行い、手間と時間を最小限に抑えることができます。
当事務所のサポート内容と料金(例)
サービス内容 | 報酬額(税込) |
---|---|
一般建設業許可(知事)申請(新規) | 155,000円~ |
法人設立+建設業許可セット | 275,000円~ |
更新申請 | 55,000円~ |
業種追加・変更届など | ご相談ください |
※料金は目安です。内容により変動します。
想定事例
想定事例①:父の個人事業から法人成りしたが、許可を取り直すべきか?
状況:
「父の代から営んできた内装業を法人化しました。個人事業のときは許可を取っていたのですが、法人に変わってから何もしていません。今のままで許可は有効ですか?」
対応:
建設業許可は**「事業者単位」のため、個人から法人になった場合、許可は自動的に引き継がれません**。新たに法人として建設業許可を取得する必要があります。
幸い、個人時代に許可を受けていた実績があり、法人代表者も要件を満たしていたため、速やかに**新規許可申請(法人)**をサポート。無事、県知事の許可を取得できました。
想定事例②:元請から「許可がないなら契約できない」と言われた
状況:
「これまで小規模なリフォームばかりだったのですが、元請から500万円を超える工事の発注を受けました。ところが『建設業許可がないなら契約できない』と言われました。」
対応:
請負代金500万円以上の工事は、建設業許可が必須です。元請会社はリスク回避のため、無許可業者との契約を避けたがっているのです。
依頼者は必要書類の収集や書き方に不安を抱えていたため、要件の確認と証明資料の整備をこちらで対応。許可取得までの期間を見据え、元請にも中間報告を行い、信頼を保ちながら契約延期で調整。無事に契約と許可取得の両方を実現しました。
想定事例③:経営業務管理責任者になれる人がいない!
状況:
「自分は職人として10年以上現場にいますが、経営経験がないため、経営業務管理責任者になれないと言われました。どうしたらよいですか?」
対応:
要件として「5年以上の経営業務経験」が必要ですが、現場管理や請負の記録から実質的に経営に関与していた証拠を集めれば、審査の可能性はあります。
そこで、元請との契約書・請求書・日報などを丁寧に整理・分析し、経営関与を示す証拠を積み上げて申請。結果、審査に通り、許可取得につながりました。
想定事例④:更新を忘れていた!すでに期限が切れていた…
状況:
「建設業許可の有効期間が5年と知らず、気づいたときには期限が切れていました。どうすればよいですか?」
対応:
許可が失効すると、その瞬間から無許可業者となってしまいます。新たに新規申請が必要となり、再びすべての要件をクリアしなければなりません。
依頼者に代わって急ぎ書類を整え、失効からブランク期間が生じないよう日付や申請タイミングを工夫。最短スケジュールで再取得し、現場への影響を最小限に抑えることができました。
想定事例⑤:会社設立と同時に許可を取りたい
状況:
「会社を設立して、すぐに元請けの仕事を取りたいので、許可も一緒に取りたいのですが、同時にできますか?」
対応:
建設業許可は「登記済みの法人」でないと申請できません。そのため、法人設立→登記完了→許可申請という流れになりますが、スムーズに行えば1カ月以内に両方完了可能です。
当事務所では、定款作成から設立登記・許可申請まで一括サポート。許可要件を満たす構成で会社設立し、許可取得まで一気に対応することで、事業開始のロスを最小限に抑えることができました。
おわりに:「小さいから大丈夫」は通用しません!
建設業界では、「うちは規模が小さいから許可はいらない」と思い込み、気づかぬうちに無許可営業をしてしまっているケースが本当に多いです。
でも、いざトラブルになったときに、「許可がない」というだけで不利な立場に立たされてしまうこともあります。
「いまのうちにちゃんとしておこう」と思った方は、ぜひお気軽にご相談ください。