後見人

親が認知症になる前にすること

2020年2月15日

  1. いきいき相続コールセンター >
  2. 後見人 >

親が認知症になる前にすること

2020年2月15日

親が認知症になる前に、これだけはしてください。

以下の人は、親御さんが認知症になる前に、対策してください。

  1. 親に遺言を書いてほしいと思っている。
  2. 親がアパート等の大家さん。
  3. 親が色んな投資をしている。
  4. 親の好きな事と、嫌いな事をあまり知らない。
  5. 親の終末期医療についての現時点での考えを聞いてない。
  6. 親の行きたい場所、食べてみたいもの、会いたい人をあまり知らない。

1.親に遺言を書いてほしいと思っている。

遺言は、意思能力がないと書けません。意思能力というのは、「遺言書を自分の意思で書きたいと思い、その思い通りに書く」能力です。これがないと、遺言は、無効になります。

書いた時点で意思能力があっても、直後に認知症となってしまった場合には、書いた時点も意思能力がなかったのではないか?と争われる可能性があります。

ですので、遺言はギリギリではなく、お元気な内に書いてもらうことをおすすめします。

兄弟間で争い等があり、親も自分に遺産を残したいと思っているような状況であれば、親に遺言書を書いてもらうのは、非常に大事です。

2.親がアパート等の大家さん。

親御さんが、アパートの大家さんの場合、認知症になってしまうと、一切の法律行為ができなくなります。入居者との契約や、銀行とのやりとり、改修工事のための請負契約などが一切できません。その時点で、成年後見人を選任することもできますが、成年後見人の使命は、本人の財産の保護であって、運用はできません。例えば、アパートが古くなり、修繕しないと入居してくれない状況でも、本人の財産を少なくしてしまう可能性があれば、修繕もできません。借金が必要となればなおさらです。

この場合は、民事信託という手続きで、回避できます。これは、家族が信託により、本人代わって財産管理をすることです。元気な内に、親とその家族等が、信託契約というのをして、その元気な内から、財産管理を任せていくというものです。この手続きにより、親が認知症になっても、信託契約の内容により、その家族が修繕や、契約等の事ができるようになります。信託契約で決めておけば、本人の財産を少なくしてしまう可能性のあることもできるになります。

3.親が色んな投資をしている。

2.と同様に、親が株式投資をしていた場合、安いときに買った株式が、高騰している今、売りたい!となっても、成年後見人は、売る事ができません。後見制度支援信託等の、別の理由から売る必要がない限り、その株式は、現状維持となってしまいます。投資には、インカムゲインとキャピタルゲインがありますが、安く買って、高く売るというキャピタルゲインを得られないのは大きいです。

この場合も、民事信託によって回避することができます。ただし、債権や株式等の投資ですと、その運用方針を信託契約に定めるのは、慎重に検討が必要です。

4.親の好きな事と、嫌いな事をあまり知らない。

1.~3.までは、財産管理について書きましたが、4.以降は、「親の幸せ」について書きます。認知症になったとき、親御さんは、どうしてほしいという事をうまく伝えられないかもしれません。

目の前のものを、好き、嫌い、とは言えても、「あの年代の誰々の音楽が聴きたい」とか、「〇〇という洋食屋のオムライス」が食べたいなど、伝えられなくなる事が多いです。一方で、好きなものに囲まれると、感情が穏やかになります。一説には、好きなことをするのは、認知症の進行を遅くするそうです。

好きなこと、嫌いなことリストをあらゆる分野で、書いておいてもらうことをおすすめします。

5.親の終末期医療についての現時点での考えを聞いてない。

これは、大変難しい問題で、私自身も、これに関して、正解はわかりません。

終末期医療というのは、「治療を尽くしても、余命いくばくかとなったときに、施してほしい医療」のことです。点滴だけにするのか、点滴はどこから入れるのか、胃ろうをするのか等です。

現時点でと書いたのは、元気な時の気持ちと、いよいよとなったときの気持ちでは、違うと思うからです。

もし、元気なうちには、自然なままでいいと思っていたとしても、いざ、その時になってみると、1秒でも長くと思うかもしれません。

とすると、元気なうちに書いたとおりに、終末期医療を施されたとしたら、いたたまれない気持ちになります。

しかし、まったく親の意見がわからないと、親が意思表示できず、昏睡状態となった場合に、家族が判断しなくてはなりません。

そのときに、生前の親の気持ちが少しでもわかれば、家族の心の負担は少しは減ります。それは、本人にとっても、幸せなことかもしれません。

ですので、やはり、現時点での気持ちを聞いておくことは、大事と考えます。

6.親の行きたい場所、食べてみたいもの、会いたい人をあまり知らない。

これは、親御さんの幸せであり、その家族の幸せにかかわることです。

私のモットーは「悔いなく生きる」です。

もはや、叶わぬとなったときに、「ああしたかった」「あれば食べたかった」「あの人に一目会いたかった」

とだけは、言いたくないと常々思っています。もし、家族がこれらの言葉を聞かされたら、どうでしょうか。

本人がそう思っていても、家族に言えなかったらどうでしょうか。

そうならないためにも、「死ぬまでにやりたい10のこと」では、ありませんが、「死ぬまでに」なんて言ってないで、

一つ大事なことを忘れていました。

最後に、「親が認知症になる前にすること」で大切なことを一つ忘れていました。だめですね。

それは、「感謝の気持ちを伝える」です。

私はまだできていませんが、皆さんはぜひ、今すぐ、伝えてください。

メールでも、電話でも、直接でも。

  • この記事を書いた人

司法書士 山田達也

 昭和44年生まれ。3児の父。平成17年、石川県金沢市に、司法書士を開業し、平成30年に行政書士事務所、平成31年不動産を開業。マンション管理士、民事信託士等の資格を保有し、不動産及び財産管理に強い事務所を目指しています。「いきいき生きる」をモットーに、お客様の「生きる」を全力で、サポートします。

-後見人

Copyright© いきいき相続コールセンター , 2024 All Rights Reserved.