多くの遺言では、相続財産を取得する方が、遺言執行者となっていると思います。
ですが、遺言執行は、専門知識を要することも多く、面倒です。
できたら、専門家に、全部、お願いしたいと思われている方も多いと思います。
いわゆる、「丸投げ」です。
令和元年7月1日以降にされた遺言の場合は、この「丸投げ」が、原則可能です。
相続に関する改正法が、この日に施行されたからです。
ですので、遺言執行者になっている相続人から、司法書士などの専門家に、遺言執行業務を包括的に、依頼することが可能です。
ただし、遺言で禁止されている場合には、この丸投げは、できません。
一方、令和元年6月30日以前にされた遺言の場合、原則、専門家に遺言執行業務を、丸投げすることはできません。
遺言で、遺言執行業務を、他の者に委任できる旨が、書いてない限り、できません。
とはいえ、登記業務、訴訟及び税務申告等の個別の、専門業務については、それぞれ、司法書士、弁護士及び税理士などの専門家に依頼することはできますので、ご安心を。
ところで、丸投げも、個別業務の委任も、できない場合があります。
それは、「この遺言内容だから、この人を頼んだ」と言える、遺言内容の場合です。
例えば、紛争が予想されるので、事情を良く知る弁護士さんを、遺言執行者に選任したというような場合です。
「事情を良く知る」+「この弁護士さん」だから、選んだのに、この弁護士さんが、多忙だからといって、
「事情を知らない」+「この弁護士さんでない人」に、複委任できるかと言ったら、多分、認められないでしょう。
これは、改正の前後を問いません。
ただし、遺言の内容を精査し、全体の内容を把握しないと、一概には判断できません。
結論は、丸投げはせずに、重要事項はご自身で、判断し、複雑な個別の業務を、専門家に、依頼されるのが、ベストでしょう。